序曲ニ長調 D2A(D996) (部分)
交響曲ニ長調 D2B(D997)
「ヒュドラリウスを弾く悪魔(Der Teufel als Hydraulicus)」序曲 D4
序曲二長調 D12
序曲二長調 D26
3つのメヌエット D39A
管弦楽作品 D71C(D966A)
管弦楽作品変ロ長調 D94A
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 D345
序曲変ロ長調 D470
序曲二長調 D556
ポロネーズ変ロ長調 D580
イタリア風序曲(Overtüre "im italienischen Stile")二長調 D590
序曲ホ短調 D684
交響曲ニ長調 D708A (スケッチ・4楽章)
交響曲ホ長調 D729 (スケッチ・4楽章、交響曲の項参照)
交響曲ニ長調 D936A (スケッチ・3楽章)
管弦楽作品イ長調 D966B (スケッチ)
作曲 | 1817年11月(20才) |
初演 | 1830年3月21日、ウィーンのラントハウスザール、兄フェルディナントの指揮 |
編成 | Fl2,Ob2,Cl2,Fg2,Hr2,Tp2,Timp,弦楽5部 |
上記のように公式の初演の記録は1830年ですが、シューベルトの生前1818年の3月1日に演奏された可能性があることが、当時の新聞批評でわかっています。
もっとも、シューベルトの「イタリア趣味」の序曲はこのハ長調のものほかに一緒に作曲されたらしいニ長調(D590)があるのですが、そのどちらかが演奏されたかはわかっていません。 シューベルトの作品としては早い時期に一般に知られた曲のひとつです。自ら連弾に編曲された楽譜も残っているそうです。 展開部を持たないあまりこった書き方をされていない序曲ですが、音楽的にしっかりしており、とても丁寧にきちんと作曲された管弦楽曲だと思います。スコアをmidiデータに直しながらとても感心しました。そこには、作曲家として身を立てようとする前向きな意志が感じられます。 ところで、シューベルトの自筆の楽譜には「イタリア風」とは記されていないそうです。1839年に兄のフェルディナントがシューベルトの作品目録を作った際に書き入れられたようです。新聞記事に見るように、妥当な命名であると思います。 序奏部分はベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲を思い起こさせますが、主部は実にロッシーニ風です。第2主題では、長いクレッシェンドで盛り上がっていく部分がありますが、「ロッシーニクレッシェンド」と呼ばれるロッシーニのよく用いた方法を思い起こさせます。 実は、ロッシーニはシューベルトと同時代に活躍した人で、1816年にはウィーンで『ひどい誤解』という歌劇が上演されてから、ロッシーニ・ブームが巻き起こったようです。シューベルトもそのブームに乗った一人のようでした。この曲ではないもうひとつのニ長調の序曲には、1816年にウィーン初演された『タンクレディ』のアリアの一節が引用されているのです。また、シューベルトが友人にあてた手紙にもロッシーニの『オテロ』に感動したことや、ロッシーニの管弦楽法に注目していることなどを書いているようです。 シューベルトの作曲の先生のサリエリもイタリア人ですから「イタリア風」というのはその意味でもシューベルトには身近かだったのだと思われます。 |
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Adagio 4分の3拍子 − Allegro 4分の4拍子 − piu mosso展開部を持たないソナタ形式で書かれています。序奏とコーダがついています。(演奏) |
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備考 |