作曲 | 1815年3月2日〜7日(18才) |
初演 | 1815年 リヒテンタール協会 |
編成 | ソプラノ、テノール、バスの独唱、混声4部合唱、弦楽4部、オルガン |
詳しい作曲動機はわかっていません。リヒテンタール協会での第1番D167の初演が大成功だったため、その第2弾として作曲、演奏されたものでしょう。 たった5日間で完成されました。コンヴィクトを退学し、父の学校で助教員として働き始めたころですが、きわめてたくさんの作品を書き上げた時期で、この作品にも意欲的であったことの現われと思います。 シューベルトのミサ曲の中で最も規模が小さいもので、ソプラノ、テノール、バスの独唱に、混声四部合唱、弦にオルガンという編成でかかれました。のちに兄のフェルディナントによってトランペットとティンパニのパートが書き加えられたようです。 シンプルで美しい作品となっています。 |
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第1曲 キリエ ト長調 4分の3拍子三部形式で書かれています。「主よ、憐れみたまえ(キリエ エレイソン)」と美しくやさしく混声合唱が歌いだします。中間部はイ短調で、ソプラノの独唱で歌われます。 第2曲 グロリア「グロリア」とは栄光の賛歌を意味します。三部形式で書かれています。 オーケストラのニ長調の明るく堂々とした音階と和音連打により始まり、コーラスが「グロリア イン エクセルシス デオ(天のいと高きところには・・)」と華やかに歌われ出します。 中間部では曲調が落ち着き、「ドミネ デウス アニュス デイ(神なる主 神の子羊)」と下降するフレーズが、ソプラノとバスの独唱によりリフレインされながら、それに対しコーラスが「ミゼレーレ ノビス(われらを憐れみたまえ)」と返します。 再び冒頭の華やかさが戻り、オーケストラが音階を低高弦で交互に繰り返す華やかな効果を織り込みながら、幾分短めに曲は閉じます。 第3曲 クレド「クレド」とは、信仰の告白を意味するものだそうです。キリスト教の主要な教義を列挙した祈りとなっています。 4分音符のかろやかなバスの動きにのり、コーラスが起伏の少ない穏やかな旋律を歌いだします。なかごろで高潮し、「Et ascendit in caelum(天に昇り)」のあたりでクライマックスとなります。そして頭の部分がもどり、終結部では穏やかに「アーメン」と締めくくります。 第4曲 サンクトゥス天地の創造者、支配者、人類の創造者、庇護者である神に感謝し、その威光を讃えて歌うのサンクトゥスです。 Adagioの力強い響きの中に「聖なるかな(サンクトゥス)、聖なるかな、聖なるかな。万軍の神なる主。主の栄光は天地に満つ」と歌い上げます。 そしてAllegroになり、「いと高きところに、ホザンナ」と各声部が掛け合いをし、フーガの始まりのように歌い上げられ、短いながらも華やかに曲を閉じます。 第5曲 ベネディクトゥスベネディクトゥスは「祝福」を意味します。アンダンテ・グラジオーソのやさしい表情で始まります。最初にソプラノが歌い、テノールとの二重唱となり、バスとの三重唱となります。シューベルトらしさのあふれる曲です。 後半はサンクトゥスのフーガ的な部分が受け継ぎ、華やかに終わります。 第6曲 アニュス・デイ「Agnus Dei」は神の子羊という意味だそうです。ミサの典礼においては、司祭と祈りに来た人との間に「主は皆さんと共に」のあいさつがあったあとで歌われるのだそうです。 曲調はホ短調で、美しくソプラノで歌われ、コーラスが呼応します。間奏のあと、同じ旋律をバスが、引き継ぎ、やはりコーラスの呼応のあと、オーケストラの短い間奏をはさみ、再びソプラノとコーラスの呼応のあと、にト長調でおだやかにに全曲を閉じます。 |
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備考 |