あ | ||||||||||||
アルペジョーネ arpeggione(伊) guitar violoncello(英) guitare d'amour(仏) |
1823〜1824年にウィーンのシュタウファー(Johann
Georg Staufer)が発明した、ギターとチェロの機能を融合した楽器。現在では廃れて、演奏されることはきわめて少ない。 胴体は、ギターのような輪郭で、チェロのような構造(駒、テールピース、f字孔のような穴、表板のふくらみ、エンドピン等)を持つ。6弦で、指板には24のフレットがある。演奏には弓を用いる。 当時シュースター(Vincenz Schuster)という、この楽器の名手がいた。シュースターはこの楽器の教則本も書いている。 シューベルトは1824年にシュースターのためにイ短調のソナタを書いた(D821)。この作品は今日でも「アルペジョーネ・ソナタ」の名で、チェロやビオラで演奏される機会が多い。 アルペジョーネの調弦
|
|||||||||||
え | ||||||||||||
エコセーズ écossaise(仏) |
4分の2拍子の速い活発な舞曲。踊り手は互いに向かい合って2列に並んで踊る。 スコットランド起源となのでこの名があるといわれる。もともとはは3拍子中くらいの速さのものであった。1700年ごろフランスに伝わり、アングレースとも呼ばれた。18世紀の前半ごろに次第に性格を変えてきた。以降、ポルカに取って代わられる。 |
|||||||||||
き | ||||||||||||
ギャロップ galop(英、仏) Galopp,Galopade(独) galoppo(伊) |
ドイツ起源の舞曲。馬の駆足が語源。4分の2拍子の速い舞曲。二人で組んで短いフレーズごとに飛び跳ねるようにステップを踏み変えながら踊る。1820年頃から1875年頃にかけて流行した。 ホプサーやルッチャーなどが前身。 |
|||||||||||
こ | ||||||||||||
交響曲 Symphony(英) |
交響曲は、管弦楽で演奏されるソナタのことで、大規模な楽曲のことです。 | |||||||||||
古典派 Classicism(英) Klassik(独) |
古典派とは、Classicism(英)の訳語で、さまざまな分野で、第一級のものを意味する。 音楽の形式が重んじられた。重んじられた形式の例を挙げると、「ソナタ形式」。全体は、[提示部][展開部][再現部]からなり、[提示部]では主調と属調(この用語についてはまた別のところで説明しましょう)と二つの主題があり、[展開部]では主題がさまざまに変化する。 このような形式が重んじられたのは、古典派音楽が王侯貴族の保護を受けて発展したことに関係が深いだろう(宮廷音楽)。 音楽史では、18世紀後半から19世紀初頭の、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの時代を指す。 |
|||||||||||
せ | ||||||||||||
セレナード serenade(英)
|
夜曲、小夜曲と訳される。「夕べの音楽」の意。 思いを寄せる女性の野家の窓辺に夕暮れに奏する音楽。 ドイツではStändchen(シュテントヘン)と訳され、歌曲や合唱曲に用いられた。 18〜19世紀には、管弦楽の形式として盛んに用いられた。ディベルティメントが屋内用に対して、セレナードは屋外用。多楽章で書かれることが多い。 シューベルトのセレナーデは、「聴け聴けひばり」や白鳥の歌のセレナード、アルト独唱と女声合唱(あるいは男声合唱)ためのセレナードが有名。前者の部類に属する。 後者の部類のものは、セレナードの名は持たないが、八重奏曲やますの五重奏曲などがそれにあたると考えることもできる。 |
|||||||||||
そ | ||||||||||||
即興曲 Impromptus |
アンプロンプチュともいいます。 ふと頭に浮かんだふしをもとにして作曲した、というような感じの曲です。多くは複合三部形式で作られています。 シューベルトのほかにショパンに名曲があります。 |
|||||||||||
ソナタ | 組形式の曲のひとつ。 ソナタは、4つ(ときには3つ)の楽章からできていて、そのうち1つ、または2つの楽章がソナタ形式で作られているものです。 それぞれの楽章はだいたい次のようになっています。 第1楽章 はやく ソナタ形式 第2楽章 ゆるやか 大きな唱歌形式 第3楽章 中ぐらいの速さ 複合三部形式(メヌエットやスケルツォなどの舞曲) 第4楽章 はやく ロンド形式(またはソナタ形式) ピアノソナタは、ピアノだけで演奏されますが、その他のバイオリンとかクラリネットなどのソナタは、ふつうピアノ伴奏がつきます。 |
|||||||||||
ソナタ形式 | ソナタ形式は、ABAの3つの部分からできています。3つの部分にはそれぞれ名前がついています。
主題提示部主題がだされる部分で、第1主題、第2主題(ときには第3主題)をもっています。第2主題からあとは、第1主題の属調に転調します。第1主題が短調のときには、第2主題からあとは平行調に転調します。なかには第1主題の属調でかかれたものもあります。 ふつう、第1主題が男性的な旋律だと、第2主題は女性的な旋律というように対照的になっています。 主題展開部この部分は、作曲の工夫をして主題をいろいろに変化させ、発展させる部分です。転調をさかんに使って感情の高まりを表すなどします。展開に用いられる主題は第1主題でも第2主題でもあることがあります。 主題再現部展開部が終わり、しだいに感情をおちつかせる部分があり、初めの主題にもどってきます。この部分は主題再現部といい、主題提示部とほぼ、同じですが、ちがうのは第2主題からあとも第1主題と同じ調でつくられていることです。 ソナタ形式では、曲の最後にコーダがついたり、主題提示部の前に序奏がつく場合も多くみられます。 コーダ結尾部。または結び。コーダはひとつの楽曲またはひとつの楽章の終わりを完全にしめくくるための楽節を言います。曲の長さにより数小節から数十小節にわたる長さのものもあります。 |
|||||||||||
ソナチネ | ソナタの組み立てを小規模にしたものがソナチネです。 シューベルトにはバイオリンとピアノのためのソナチネが3曲あります。 |
|||||||||||
た | ||||||||||||
短音階 | ラの音を主音とする音。ラシドレミファソラと並ぶ。自然短音階と和声短音階と旋律短音階がある。悲しかったり、寂しかったり、激しいなどの情感を表すのに多く用いられる。 | |||||||||||
つ | ||||||||||||
通作歌曲 | 歌詞の内容によって、旋律がだんだん変化してゆき、単純に繰り返すことない形で作られた歌曲です。物語にあわせて、場面によってかなり変化をもつものもあります。シューベルトの「魔王」はこれにあたります。 | |||||||||||
ふ | ||||||||||||
複合三部形式 | 楽曲の形式。二部形式や三部形式が、さらに大きな3つの部分として構成された形式です。多くは、A-B-Aのような形をとります。中間のBの部分はトリオと呼ばれ、Aの部分と雰囲気をかえ、対照的作られます。 行進曲や舞曲の形式としてよく使われます。
|
|||||||||||
ほ | ||||||||||||
ポロネーズ polonaise |
4分の3拍子の下の楽譜のようなリズムの伴奏に持った曲です。(演奏) ポロネーズは、フランス語で「ポーランドの」という意味です。16世紀の終わりごろからポーランドの宮廷の儀式や行列から発達し、国中に流行しました。もともとは古くからポーランドにあった踊りの曲だったようです。
シューベルトはピアノ連弾用のポロネーズやバイオリンとオーケストラのためのポロネーズを残しています。 |
|||||||||||
め | ||||||||||||
メヌエット menuet |
あまりテンポの速くない、優しい感じの3拍子の舞曲です。 小刻みな足どりで美しく踊る舞曲です。フランス語のムニュ(小さいという意味)ということばからついた名まえといわれます。 古くは野外で踊られる舞曲でしたが、17世紀には宮廷で踊られる優雅な曲になりました。 古典派の音楽では、交響曲やソナタなどの楽章(第3楽章が多い)としてメヌエットを取り入れました。この場合、たいてい複合3部形式で書かれました。 バッハ、ボッケリーニ、モーツァルトやベートーヴェンなどによく知られる作品があります。 シューベルトは初期の交響曲やピアノソナタはしばしば取り入れました。
|
|||||||||||
メロドラマ Melodram(a)(独) melodrama(英) melodramma(伊) |
一般的には、『感傷的通俗劇(日本では昼メロなどという呼び方で下世話な恋愛劇のようなものがさされますね)』の意味で使われています。 イタリア語では、『音楽劇』をさします。 歌劇では、語りと音楽で劇を進める部分をいいます。登場人物のしぐさや表情などを音楽で表すようなことを示す場合もあります。 シューベルトの『フィエラブラス』では、第2幕で異教徒にとらわれる騎士ローラントの様子を、ローラントの恋人フロリンダが音楽に合わせ、語る場面がありますが、これはメロドラマの例です。 メロドラマの語源は、ギリシア語のメロス(melos)とドラマ(drama)の合成語です。わたしはメロディ・ドラマかと思っていました。 |
|||||||||||
ゆ | ||||||||||||
有節歌曲 | 同じ旋律が歌詞を変えつつ何回か繰り返されて作られた歌曲です。 わかりやすくいえば、1番、2番・・と番のある歌曲です。「津軽海峡冬景色」でいえば、1番は「上野発の夜行列車降りた時から〜」2番が「ごらんあれが竜飛岬北のはずれ・・・」というようなやつですね。 |
|||||||||||
り | ||||||||||||
リート lied(独)数形がLieder(複,リーダー) |
ドイツ語で歌全般を指します。 | |||||||||||
れ | ||||||||||||
レントラー Ländler |
オーストリアの舞曲。遅めの3拍子。歴史的には、メヌエットの時代の後、ワルツの流行る少し前になる。19世紀のはじめに流行した。 ワルツよりも民俗音楽的な性質が強い。 名前の由来は、「田舎風の踊り」の意味のLändlerischer Tanzからきたという説とオーバーエースライヒテライヒ州の舞踊Landlからきたという説がある。 モーツァルトやベートーヴェンに作品がある。ことにシューベルトはたくさんのレントラーを書いた。また、ランナーやヨハン・シュトラウスはウィーン舞踏としてのレントラーを書いている。 |
|||||||||||
ろ | ||||||||||||
ロマン派 romanticism(英) |
甘く叙情的で感傷的な物語を示す「ロマンス」と、同語源です。 ロマン主義の基本的なものは、自由主義、内面性の重視、感情の尊重。よく用いられるモチーフとして、あこがれ、愛、夢、幻、異国的なもの、自然の賛美、不安と動揺などがあげられる。 古典主義の対立概念と考えら、18世紀末から20世紀初頭まで、ヨーロッパで芸術・思想など広い分野での流れとなった。 前期のロマン派としては、ウェーバー、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、ブラームスがあげられる。 後期の代表はリヒャルト・シュトラウスなど。 シューベルトは18世紀の古典派様式に立脚し、19世紀のロマン派様式とを融合する役割をはたした。これは、シューベルトが、古典派で完成された形式にのっとっていながらも、内容的には先にあげたロマン派的なモチーフを作品に反映させ、優れた作品をたくさん生み出したということであろう。 ベートーヴェンの死は1827年(57歳)、シューベルトは1828年(31歳)で、ほぼ時代が重なっているにもかかわらず、ベートーヴェンが古典派で、シューベルトがロマン派に入れられるのはこのことによる。 |
|||||||||||
楽譜用語辞典
用語 | つづり | 意味 |
アレグロ | Allegro | 速度記号。快速に 〜・マ・ノン。トロッポ 急がずに |
アンダンテ | Andante | 歩く速さで |
トレモロ | tremoro | 弦楽器が、弦の上を弓を細かく上下させ、震えるような効果をだす奏法。弱奏では神秘的な雰囲気がかもし出され、強奏では、力強く音を持続させる。旋律に躍動感を与えることもできる。 |