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歌劇『フィエラブラス』D796

Fierabras D796

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作曲 1823年5月25日〜10月2日(26才)
台本 ヨゼフ・クーペルヴィーザー
初演  
編成  
出版  
作品について

作品の成立

台本作者ヨゼフ・クーペルヴィーザー

評価

物語について
記号

登場人物

フィエラブラス タイトルロール。ムーア人の君主の息子
カール王 フランク王国の王
エンマ フランク王カールの娘
ローラント フランク王国の騎士。ムーア人の国アグリモーレとの戦闘で活躍。かつて、イタリアのローマに留学していた時、アグリモーレの君主の娘フロリンダと愛し合っていた。
エギンハルト フランク王国の貧乏貴族の息子。エンマと愛し合っている。
ボーラント ムーア人の国アグリモーレの君主。異教徒。
フロリンダ ボーラントの娘。イタリアの滞在していた時、フランクの騎士ローラントと愛し合っていた。
マラゴント フロリンダの侍女
ブルタモンテ ボーラントに使える部下。
   
記号

時と場所

フランク王国カール大帝の時代(8世紀末〜9世紀初頭)。 南フランスとスペイン。

記号

あらすじ

 フランク王国(南フランス)のカール王は、ムーア人の国(スペイン) アグリモーレと戦争をしていました。アグリモーレはボーラントを君主としており、フランク王国とはちがう宗教 (イスラム教?)を信仰していました。

フランク王国は、戦争で決定的な勝利をおさめました。君主ボーラントの息子フィエラブラスの率いる軍を、打ち破ったのです。

 カール王の軍はフランク王国に凱旋します。カール王は、騎士ローラントの進言をうけいれ、 捕虜となったフィエラブラスを解放します。敵ではありながら勇敢であったフィエラブラスは、 すでにローラントとの友情を育み、改宗していたのでした。

この場にフィエラブラスカール王の娘、エンマがいるのを見て驚きます。実は、4年前、フィエラブラスはローマでエンマに会い、ひそかに心を寄せていたのです。

カール王は、ローラントと、エギンハルトと数名の騎士たちをボーラントに降伏と改宗をせまる使節として派遣します。 実はエギンハルトはひそかにエンマと愛し合っていました。エギンハルトは貧乏な貴族の出身でカール王からのおぼえも芳しくありませんでした。この使節の派遣にエンマは不安を感じつつも何とか功績を挙げてくれるよう期待します。

その使節の出発の直前、エギンハルトエンマは逢い引きをします。しかし、それは人の知るところとなり、カール王は激怒します。フィエラブラスはそのとき、エギンハルトをかばいのその罪をかわりに負い牢獄につながれます。エギンハルトはやましい思いにとらわれながらも出発してゆきます。

フランク王国の国境近くで、エギンハルトは使節団を一時離れ自らのとるべき道について物思いにふけります。そこにムーア人の軍がせまり遭遇します。ムーア人たちを説得し、仲間を呼ぼうとホルンを吹き鳴らしますが、それに動揺したムーア人たちはエギンハルトを捕らえ、ボーラントのもとに連れ去れます。

ローラントと騎士たちは自分たちの職責を果たすため、そしてエギンハルトを救うためムーア人の地に入ります。ムーア人たちを説得し改宗させながらボーラントのもとに到着し謁見します。その場にいたボーラントの娘でありフィエラブラスの妹であるフロリンダローラントの姿を見て驚きます。それは、ローラントフロリンダはかつてローマで深く愛し合う間柄だったからです。

ローラントボーラントを説得しようとしました。しかしボーラントは息子フィエラブラスがすでに改宗しフランク王国側にくみした事を聞くや激怒し、使節団を捕らえ牢獄につなぎます。

囚われた使節団のもとにフロリンダは彼らを助けるためひそかに侵入します。そして、ローラントエギンハルトを脱出させます。しかし、不穏な動きを察知したムーア人たちは牢獄を包囲しており、ローラントを捕らえます。

エギンハルトはなんとか危機を脱しカール王の下に到着し事の次第を告げます。エギンハルトは援軍を率いて使節団を救うことを申し出ます。カール王は即刻軍の派遣を命令し自らも同行します。このときちょうどエンマの告白により無実の罪をゆるさたフィエラブラスも軍に加わります。

ムーアの地ではローラントの処刑が目の前に迫ったとき、エギンハルトフィエラブラスの軍が到着します。ボーラントに軍の手がかかろうとしたとき、フィエラブラスが制止し、父を説得します。ボーラントは、改宗をし、カール王に下る苦渋の選択をします。

すべてのものが互いを認め合い、歓喜のうちに幕となります。

記号

各幕のあらすじ

第1幕

王城の女たちの一室

 フランク王の娘エンマは編み物をし、侍女たちが糸をつむぎ、紡ぎ歌を歌っています。歌は次第に戦争への不安となってゆきます。

 そこへエギンハルトがやってきます。エンマカール王のムーア人への勝利の凱旋と、自らがアグリモーレへの使者として派遣されたことを告げます。二人は不安を覚えます。

 エンマエギンハルトはひそかに愛し合う間柄でした。しかし、エギンハルトは貧乏貴族の出身であり、カール王から認められていません。エンマはこの逆境をカール王エギンハルトを認めさせる場になるようにと祈ります。

城内の祝祭用の豪華な広間

 カール王が多くの貴族を従え、戦利品をたずさえ、広間に入場します。民衆は歓呼します。

 そこへ捕虜となったムーア人がひきだされます。その中にフィエラブラスがいました。カール王フィエラブラスに鋭い目で憎しみをを投げかけますが、騎士ローラントフィエラブラスがいかに勇敢で気品ある気高い態度であったかを訴えます。カール王ローラントの進言をいれ、フィエラブラスを解放します。ローラントフィエラブラスがアグリモーレの王ボーラントの息子であることを告げますが、それでも王は許し、身柄をローラントにあずけます。

 カール王はローラントの功績をたたえ、冠を授けます。冠はエンマの手によってローラントに与えられました。その時フィエラブラスは気づきます。エンマがかつてローマで出会いあこがれ恋した人だと。

 華やかな戦勝の宴のあと、フィエラブラスローラントは友情を深め合います。フィエラブラスはかつてエンマに恋していたことを告白します。そして皮肉なことに、フィエラブラスの4歳年下の妹はローラントとイタリアで深く愛し合う中だったことがローラントから告白されるのです。

城内の庭、明るくともされた建物、庭

 夜。エンマの部屋のバルコニーの下にエギンハルトがいます。リュートを手に愛の歌をエンマに捧げます。逢い引きに訪れたのでした。

 偶然そこにフィエラブラスが彼らには知られず居合わせてしまいました。フィエラブラスは、エンマエギンハルトと愛し合っていることを知り、衝撃を受けます。

 ちょうどその時物音に気づいた人々が騒ぎ出します。その場を逃げようとしたエギンハルトフィエラブラスと鉢合わせしてしまいます。

 フィエラブラスエギンハルトへの敵愾心はあっても理性でこらえ、エギンハルトの懇願にこたえ、見逃します。エンマは、フィエラブラスが秘密を守ることを約束したことに感謝します。そして、フィエラブラスエンマの手をとり、城内に戻ろうとします。そこに、王の従者があらわれふたりを見つけます。

 フィエラブラスとエンマはカール王の前にひきだされます。フィエラブラスは無実の罪をかぶります。カール王エギンハルトを呼び出し、フィエラブラスを牢獄につなぐよう言い渡します。エギンハルトはためらいますが、そこにアグリモーレへの使者の出発の合図が聞こえてきます。カール王エギンハルトに出立を命じます。

第2幕

フランス国境を越えた平原

 派遣された騎士たちは、平和の標である白い旗と棕櫚を手に持ち、意気揚々とすすみます。一方が丘陵でさえぎられたフラン国境上の平原にまでいたります。その中でエギンハルトはひとり、自分の罪をかぶったフィエラブラスのことを考え、自分を責めます。そしてフィエラブラスの父を説得しにいく使命に対し後ろめたさを感じます。心の揺れるエギンハルトは騎士団から一時遅れて行動します。ローラントは何かあったときにはホルンを鳴らすようにと言いおき、先に進んでゆきます。

 ひとりとなったエギンハルトは死への決意を胸にします。ちょうどそこに、様子を伺っていたムーア人たちが現れます。エギンハルトはムーア人ブルタモンテに、平和の使者としてきたことを告げ、ホルンの合図を鳴らします。騙されると感じたムーア人たちはあわててエギンハルトを捕らえ、力ずくで丘のほうへと引き上げてゆきます。

 そこにもどった騎士たちはエギンハルトが連れ去られたことを知り、焦って捜します。

アグリモーレのムーア人君主ボーラントの城内の一室

 ムーア人君主ボーラントの一室はテントのようになっており、幕が下りています。そこでフロリンダはイタリアで出会ったローラントを忘れられないことを友人マラゴントに打ち明けています。

 そこに君主ボーラントが現れます。ブルタモンテがフランク人を捕らえてきたことを報告し、エギンハルトはボーラントの前に引き出されます。エギンハルトはローラントともに平和の使者としてきたことを告げ、フィエラブラスがとらわれたフランク王国の地で許され自由のみとなったことを告げます。フロリンダは愛するローラントに会える期待を持ち喜びます。しかし、ボーラントはそれならばなぜフィエラブラスがアグリモーレにもどらないのかといぶかります。そこでエギンハルトはフィエラブラスが自分の罪をかぶり再度囚われの身になったことを告白します。ボーラントはエギンハルトに怒りを向けます。

 ちょうどその時、ローラントの騎士団が到着します。華やかに城内に入場し、平和の標しをかかげます。ボーラントは天蓋つきの王座に上がり彼らをむかえます。ローラントは平和の使者としての口上を述べます。そして君主の息子フィエラブラスがすでに改宗したことを告げます。ボーラントは冒涜であると怒り、彼らに死を命じます。

 このとき、フロリンダは君主の娘であることを捨て、愛するローラントを助けフランクの騎士たちを救うことを決意したのでした。

堅牢な塔の中の一室

 騎士たちは、祖国を思い静かに歌っています。ローラントは運命に身をゆだねるしかないと心静かに観念しようとしていますが、ただひとつフロリンダのことが気にかかっていることを告白します。それに対し、エギンハルトは死はやむをないと思っているが、それは自分の使命に対してではなく、フランク王の娘エンマと愛し合ってしまった罪に対するものだと告白します。そしてフィエラブラスに対する裏切りも告白します。騎士たちはそれを聞き、「恥辱だ」と色をなします。

 そこに物音がします。塔の外に彼らを見張り番している兵士が傷つけられ逃げてゆくことに気づきます。女が塔の一室に飛び込んできました。フロリンダが彼らを逃がすためにやって来たのでした。フロリンダとローラントは再会を喜びます。そして即座に塔の外へと行動を起こそうとします。

 しかし、周囲はだんだん騒々しくなりトランペットや太鼓の音が鳴り響きだします。別室から武器を調達し対抗しますが、もうすでに塔の入り口は突破されようとします。そこでローラントとエギンハルトは援軍を呼ぶために小窓から剣を片手に脱出をはかります。しかしローラントは敵に取り囲まれ、捕らえられてしまします。フロリンダは気を失い、騎士たちは絶望に打ちひしがれます。

第3幕

フランク王国の王城の一室

 ところは変わって、フランク王国の 王城の一室。エンマと侍女たちがいくつかのグループになって花輪を編み、使節団の無事の帰還を祈る歌を歌います。

 そこにカール王が現れます。カール王は使節団が2日たっても帰らぬことに不安を抱きながらも、騎士たちを信頼するので大丈夫だろうといいます。しかし、エギンハルトにだけは危険だとつぶやきます。それを聞きつけたエンマの動揺します。それをみてカール王は疑念を抱きます。エンマはたまりかねてエギンハルトとの密会を告白します。驚いたカール王は、即刻フィエラブラスの解放を命令し、エンマを勘当します。

 フィエラブラスが釈放され、王とエンマの前に出たその時、エギンハルトが王城に駆け込みます。そして、仲間がムーア人君主に捕らえられ絶体絶命であることを告げます。さらにエギンハルトは仲間を助けるためにカール王に軍隊をさずけてくれるよう懇願します。

 カール王は、エギンハルトに「お前には二つの罪があり、そして二度命を失った。生まれ変わるために仲間を助けよ。」と命令を下します。さらにエギンハルトが倒れたらそれを代わるようフィエラブラスにも出立を命じます。

アグリモーレの塔の内部

 場面は再びアグリモーレの塔の内部へと移ります。そこにはフロリンダがすべての希望を失い力尽きた様子でいます。騎士たちにはエギンハルトが危機を乗り越えただろうとわずかな望みをもって、フロリンダを慰めます。

 すでに広場ではローラントの処刑の火刑台の準備が進められています。それをみたフロリンダは、塔の窓に駆け寄り、ローラントへの慈悲を力の限り叫び、訴えます。騎士たちとフロリンダは塔の外へと階段を駆け下りて行きます。

塔の前の広場

 塔の前の広場では、ローラントの処刑のためにムーア人たちが集まっています。ムーア人君主ボーラントが登場します。ちょうどそこへ、フロリンダと騎士たちが塔の中から現れます。フロリンダはローラントの助命を訴え、騎士たちを許してくれるよう懇願します。しかし、ボーラントは娘を勘当し、騎士たちにも死を与えよと命じます。

 ちょうどそこへ、ムーア人ブルタモンテが軍隊が押し寄せてくることを報告にやってきます。外から太鼓の音が徐々に近づいてきて、間髪をいれず、フランク王国の騎士たちが塔の前の広場に侵入してきます。その一部はサーベルを抜いてムーア人に切りかかります。 ボーラントはフロリンダの手をとり、塔の中に逃げ込もうとします。

 エギンハルトとフィエラブラスはフランクの兵士たちとともに突進してきます。エギンハルトは騎士たちを救い、自由になったローラントは剣を取り、ボーラントに追いすがります。ローラントは片方の手でフロリンダを引き離し、片方の手でボーラントをめがけ剣を振り上げます。

 そこにフィエラブラスが間一髪割って入りローラントを制止します。ムーア人たちはこのとき敗北を受け入れます。騎士たちはエギンハルトと抱き合います。

 そこへ、カール王がエンマと従者を従え入城します。カール王はエギンハルトとフィエラブラスを祝福し、敗北を受け入れたボーラントに慈悲の言葉をかけます。そしてエギンハルトとエンマを許します。カール王の徳をたたえる合唱が響きます。

 ムーア人君主ボーラントもフロリンダを許し、すべてのものが歓喜の中にこの物語は幕を閉じます。

 

 

楽曲解説

ナンバー・サイトマップ

序曲

 

第1幕

第1曲   導入曲 「銀の糸が」(エンマ、侍女たち)
第2曲   二重唱 「ああ、明るい希望に心はばたく」(エギンハルト、エンマ)
第3曲   行進曲と合唱 「気高き栄誉の門に」
第4曲   重唱  
  レチタティーボと合唱 レチタティーボ:「王よ、戦利品は兵士たちにおあたえください」(オギエ、ローラント、カール王)

合唱:「勝利の報酬、それは多数の敵」

  重唱と合唱 アリオーソ:「戦争の結果、お前たちの運命は私にゆだねられた」(カール王)

合唱:「王様、万歳!祝福を与え」

  レチタティーボと語り レチタティーボ:「深く沈んだまなざしを大地に送っているが」(カール王、ローラント、フィエラブラス)

叙唱:「軍が力の限りを出して戦っていた」(ローラント)

レチタティーボ:「彼はもう一人の英雄に負かされたのだ」(カール王、ローラント)

  重唱と合唱 祖国の娘たちの敬虔な務め(エンマ、侍女たち、カール王、フィエラブラス、ローラント)
  四重唱と合唱 「われわれはこの結果を」(エンマ、エギンハルト、フィエラブラス、ローラント、騎士たち、オギエ、カール王)
  行進曲と合唱 (第3曲に同じ)
第5曲   二重唱 「勇気を出して希望を持とう」(フィエラブラス、ローラント)
第6曲   フィナーレT  
ロマンツェ(二重唱) 「夕闇が静かに大地へ降りてくる」(エギンハルト、エンマ)
レチタティーボとアリア 「どうしてぼくを苦しめるのだ、不幸な運命よ!」(フィエラブラス)
重唱と合唱 「何の音だ!静かな夜に何の動きだ?」(フィエラブラス、男たち、エンマ、エギンハルト)
三重唱 「あ、裏切り者だ!」(フィエラブラス、エンマ、エギンハルト)
レチタティーボ 「さあ、勇気を出せ!」(フィエラブラス、エンマ)
レチタティーボ、三重唱と重唱 レチタティーボ:「ああ!なんと?エンマではないか?(フィエラブラス、エンマ、カール王)

三重唱:「愛と義務の葛藤で」(フィエラブラス、エンマ、カール王)

重唱:エギンハルトよ(カール王、エギンハルト、エンマ、フィエラブラス)  

四重唱と合唱 「勝利の舞を舞おう」(騎士たち、エンマ、エギンハルト、フィエラブラス、カール王」

 

第2幕

第7曲   リートと合唱 「すがすがしい朝の光を受けて」(エギンハルト、ローラント、騎士たち)
第8曲 レチタティーボ、行進曲(メロドラマ付き)と重唱 レチタティー:「決心した、彼の鎖を解くのだ」(エギンハルト)

メロドラマ:「恐れを知らぬもの度も!ここに何しに来た!」(エギンハルト、ブルタモンテ)

重唱:「あの音は何だ?・・・」(ブルタモンテ、ムーア人たち、エギンハルト)

  二重唱と合唱 「彼はどうした?」(ローラント、オギエ、騎士たち)
第9曲   二重唱 「地上の栄光や輝きをはるかに越えた」(フロリンダ、マラゴント
第10曲   五重唱 「不実なフランクの悪者に」(ボーラント、フロリンダ、マラゴント、エギンハルト、ブルタモンテ)
第11曲   合唱 「君主の館の広間に」
第12曲   三重唱と合唱 「お前たちは死をもって償うのだ」(ボーラント、ローラント、フロリンダ、騎士たち、ムーア人たち)

「予期せぬ苦境に」(ボーラント、ローラント、フロリンダ、騎士たち、ムーア人たち)

第13曲   アリア 「不安に満ちたこの胸に」(フロリンダ)
第14曲   合唱 「ああ、いとしい祖国よ!」(騎士たち)
第15曲   メロドラマ  
  メロドラマ、レチタティーボと重唱 メロドラマ:「はっ!あれは何だ?」(騎士たち、オリヴィエ、オギエ)

レチタティーボと重唱 :「彼はどこ?」(フロリンダ、ローラント、騎士たち)

  二重唱と合唱 「墓に入る前に」(フロリンダ、ローラント、騎士たち)
第16曲   合唱とメロドラマ 合唱:「君がくれた希望の光が」(騎士たち、オギエ、ローラント)

メロドラマ:「新しい苦境だ!」(騎士たち、フロリンダ、ローラント、オギエ、エギンハルト)

第17曲   フィナーレU  
  三重唱と合唱 「油断しなければわれわれに道は開ける」(エギンハルト、ローラント、フロリンダ、騎士たち)
  メロドラマ 「彼をお守りください、永遠の神よ!」(フロリンダ、騎士たち)

 

第3幕

第18曲   合唱 「やがて踊りの歌が鳴り響き」(侍女たち、エンマ)
第19曲   四重唱とシーン 四重唱:「やがてはっきりするだろう」(カール王、エンマ、エギンハルト)

シーン:「わが王はどこに?」(エギンハルト、エンマ、フィエラブラス、カール王)

第20曲   三重唱 「空高く雲が浮かぶところで」(フィエラブラス、エンマ、エギンハルト)
第21曲 アリアと合唱 「悲嘆にくれた激しい苦悩が」(フロリンダ、騎士たち)
  葬送行進曲(メロドラマつき)と重唱 メロドラマ:「なんと、また新しい恐怖だ!」(フロリンダ、オリヴィエ、騎士たち)

重唱:「なんと、ああ!お慈悲を、やめて!」(フロリンダ、騎士たち)

第22曲   重唱と合唱  
    重唱 「復讐の犠牲が供され」(ムーア人たち)
    合唱 「あなたの足元に跪き」(フロリンダ、ボーラント、騎士たち)
第23曲   フィナーレ  
  レチタティーボ 「ぼくの父だやめてくれ!」(フィエラブラス、フロリンダ、騎士たち)
  重唱 「勝利はわが勇敢な軍に与えられた」(カール王、ボーラント、エギンハルト、エンマ、フィエラブラス、フロリンダ、ローラント、騎士たち)
  レチタティーボと終曲 レチタティーボ:「さあ、長く待ちこがれた幸せを喜ぶがいい」(カール王)

終曲「兄弟の絆に結ばれて」(カール王、全員)

序曲

 アンダンテ、ヘ長調の序奏(4分の3拍子)とアレグロ・マ・ノン・トロッポ、ヘ短調の主部(2分の2拍子)からなります。ソナタ形式で書かれています。

 序奏は、弦のトレモロで神秘的に始まります。第2幕でフランク王国の騎士たちがアグリモーレの敵陣の塔に幽閉された時に祖国を思って歌う、無伴奏の合唱のモチーフが用いられています。ホルンによって演奏され、木管楽器が加わる。弦楽器のトレモロをはさんで、主部に入ります。(演奏

 ホルンと弦楽合奏の掛け合いでテーマが示されます。(演奏

 それを受けて全合奏でヘ長調の旋律がで力強く提示されます。少々ウェーバーを思い起こさせるようなオーケストレーションが聞かれます。(演奏

 さらに、不安を含みながらも美しい旋律がオーボエによって奏されます。(演奏

 展開部は、主部の最初のテーマがもととなり、簡潔に発展してゆきます。

 短めの提示部のあと、緊張感のあるコーダが続きます。繋留音の多用された弦とトロンボーンの力強い響きが印象的です。

第1幕

第1曲 導入曲 アンダンティーノハ長調 8分の6拍子

つむぎ歌となっています。侍女とエンマがムーア人と戦う騎士たちの無事を思い、糸をつむぎながら歌います。8分の6拍子のシチリアーノ風のリズムは、紬車の回転を表していると思われます。(演奏)物思いに沈むエンマは、途中で「墓で着る衣も私たちは織るのと」と不安を歌うので、短調に転調していきます。

第2曲 二重唱 アンダンティーノ 変イ長調 4分の3拍子−アレグロ・モデラート 4分の2拍子

エギンハルトが現れ、エンマにカール王がムーア軍を破り凱旋することを報告します。しかし、二人はエンマとエギンハルトのひそかな愛が知れることに不安を抱いています。そこで、この歌が歌われます。前半では二人の思いを歌い、互いに励ましあいます。(演奏

後半部分では、テンポも気分も高揚し、高らかに「変わらぬ愛」を歌い上げます。

第3曲 行進曲と合唱 アレグロ・モデラート ニ長調 4分の4拍子

カール王の凱旋行進曲。男性四部合唱が王をたたえます。(演奏)続いて女性四部合唱が優しく「勝者を花輪で飾りましょう」と歌います。そして、全員合唱となります。

第4曲c 物語 アレグロ・ビバーチェ ニ短調 4分の4拍子

ローラントの歌うアリア。「フィエラブラスは勇敢な兵士であり、捕らえられたが英雄なのです」と歌われる(演奏)。トランペットのファンファーレが「英雄」の歌詞にかぶせられ、印象的です。

第5曲 二重唱 アレグロ・マエストーソ・コン・フォルツァ イ長調 4分の4拍子

この二重唱に先立って、台詞でフィエラブラスがエンマにあい、そのためにキリスト教に信仰を改めようとしていること、ローラントはフィエラブラスの妹フロリンダと愛し合っていたことを互いに告白しあう。それをうけて二人は「勇気を出して希望を持とう、耐え忍ぶ人に、そしてわれわれに開かれた道を歩もう」と歌います。(演奏)

第6曲a ロマンス アンダンテ イ短調 4分の4拍子

エンマの部屋の窓の下で歌われる、きわめて美しいエギンハルトのロマンス。(演奏)クラリネットの序奏が印象的です。エンマがバルコニーに現れると、エギンハルトの心を示すように曲はイ長調に転調し、最後の部分では二人の二重唱となります。

第6曲b レシュタティーボとアリア ウン・ポコ・ピウ・モート ハ短調−ハ長調

フィエラブラスのアリア。レシュタティーボでは、エンマがエギンハルトを愛していることを知っての苦しみを歌います。アリアでは、まずエンマへの憧れが長調でほのかに歌われ、耐え忍ぶ気持ちが短調で歌われます。

第6曲c エンマとエギンハルトの密会が発覚し、二人は城外に逃げます。そこで、フィエラブラスに鉢合わせします。フィエラブラスの独唱と男声合唱に続き、エンマとエギンハルトの二重唱となります。

第6曲f レシュタティーボと三重唱

 エギンハルトが呼ばれ、フィエラブラスを拘束させます。そこにアグリモーレへの出立のトランペットの合図がなります。

第6曲g 四重唱と合唱。

第2幕

第7曲 リートと合唱 アンダンティーノ ハ長調 4分の4拍子

 平和の使者のうた。のびやかな楽想です。ウェーバーを思い起こさせるような旋律です。(演奏

第8曲 メロドラマ アレグロ・ヴィヴァーチェ

ムーア人のひそかな接近をあらわす不気味な雰囲気の独特な行進曲。エギンハルトとムーア人は遭遇します(演奏)。音楽を背景にエギンハルトはムーア人を説得する会話がされます。

エギンハルトが仲間に送る合図が、ホルンで示されます。仲間の返答のホルンをきっかけに音楽に動きが出てきます。中庸な速さの行進曲が男声合唱のざわめきのような歌とともにだんだん緊迫感を高め、テンポも速くなったところで、エギンハルトを拘束し連れ去ります。

 フランクの騎士たちがムーア人たちに入れ替わり登場し、エギンハルトをあわてて探す場面となります。ここでも緊迫した音楽が形作られています。

第9曲 二重唱 アンダンテ・コン・モート 変イ長調 8分の6拍子

場面はボーランとの居城の一室となります。フロリンダがローラントへの思いを歌い、マラゴントがその思いの危なさを歌う、美しい二重唱です(演奏)。

 

 

 

 

 

 

備考  

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